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脳の神経ネットワークの調節障害が起こっていると考えられています。
サイコーシス・エピソードの状態では、脳の神経の働きの調和が乱れてしまい、脳内に存在する神経伝達物質の一部が多くなりすぎたり、少なくなりすぎたりすると考えられています。このために、外から受け取る情報と脳の中の情報とがうまく整理されず混乱してしまい、その結果、幻覚や妄想などの症状が出やすくなると考えられています。
これまでの研究からは、遺伝やストレスなど何かひとつの原因でサイコーシスになることはないと考えられています。むしろ、誰しもがなる可能性がある病気で、人と比べるとストレスを受けやすかったり、ストレスにうまく対処できなかったりすることで、サイコーシス・エピソードが起きてしまうのだと考えられています。ストレス、不眠、疲れ、孤立・孤独などがこの調節障害の引き金となることが知られています。
サイコーシス・エピソードは、「前駆期」「急性期」「休息期」「回復期」の4つのステージに分けることができます。まず、病気のはじまりの時期「前駆期」があり、その後症状が活発になる時期(急性期)、病気の回復へ向かう時期「休息期」~「回復期」へと経過していきます。
1) 前駆期:前触れの時期。下図のような様々な症状が前兆として出現します。この時期の長さや症状は人によって異なります。ただし、前駆期で出てくる症状は、他の精神障害で起こることもあり、必ずしもその後に精神症エピソードに発展するわけではありません。しかし、こうした症状が出てきたときには、こころの病気の危険サインとして注意をする必要があるのです。
2) 急性期:病気の症状が強い時期で、精神症(サイコーシス)の症状が明らかになります。幻覚や妄想、まとまらない会話・行動等が生じます。興奮や情緒不安定のため、問題行動を起こすこともあります。お薬による治療がとても大切です。
3) 休息期:精神症(サイコーシス)の症状は軽くなり、すっかり消失することもあります。ただし、やる気が出てこなかったり、落ち込みやすかったり、疲れやすかったりするのがこの時期の特徴です。こうした症状は、急性期での疲れや消耗のために起こっているので、回復期に向けて休息を中心とした生活を送る必要があります。この時期の充分な休息がその後の回復へとつながります。
4) 回復期:意欲が少しずつ回復し、徐々によくなっていることが実感できる時期です。ただし、回復のスピードには個人差があります。その人の抱えているストレスや問題にも左右されますし、症状の具合にも左右されます。焦らずゆっくりと、周囲の人と相談しながら前に進んでいくことで、よりよい回復が得られるでしょう。
精神症(サイコーシス)の経過は様々で、ひとりひとり大きく異なります。サイコーシス・エピソードを1度しか経験しない人もいれば、何度か繰り返す人もいます。エピソードの後に、すっかり回復する人もいれば、何らかの症状が持続する人もいます。仕事に普通に就いたり、結婚して子供のいる人もいれば、障害が残り福祉的な支援を受けながら暮らしている人もいます。経過はさまざまですが、ひとつ言えるのは、統合失調症になったことで人生がすべて決まるということは決してないということです。どんな人にも色々な可能性があるのです。統合失調症は回復するこころの病気です。